築46年のRC造5階建てビルを全室サウナ付き賃貸マンションに

賃貸経営住宅設備・建材#Regeneration#建物再生物語

メゾンドヌック追浜

間取りは約65m²の広々としたワンルーム。海外のアパートメントをイメージしてデザインしたという。大きな窓からの眺望もいい

 

 神奈川県横須賀市の京浜急行電鉄本線追浜駅から徒歩4分。2023年6月、築46年のRC造5階建てのビルが全室サウナ付きの賃貸マンション「メゾンドヌック追浜」として生まれ変わった。もともとは1階が駐車スペース、2階が美容室、3階以上が前オーナーの住居だった。

 


 現オーナーの谷口和泉氏は、内装デザイン会社勤務を経て14年に独立し、住宅や店舗のリノベーションを行うメゾンドヌック(神奈川県横須賀市)を設立した。設計デザインから解体、施工まで手がけている。受注案件だけでなく、自社で物件を購入して改修し、賃貸経営も行う。地元の不動産会社から紹介された同物件は、5件目の自社所有物件だ。「窓が6mの間口いっぱいに広がり、天井高も2.7mあって、海外のアパートメントのような開放感に引かれて購入しました」と谷口氏は話す。


 サウナ付き賃貸住宅の施工に携わったことがある谷口氏は、自社の新規事業としてサウナ付き賃貸ブランド「&サウナ」を立ち上げ、その第1号として同ビルを改修することにした。購入費900万円と改装費2500万円は、経済産業省の事業再構築補助金と自社物件の売却益、銀行からの融資などを充てた。


 ビルは一度スケルトンにし、電気配線と水道配管以外、谷口氏がほぼ1人で施工。1階を同社の事務所に、2階以上を各フロア1戸の広々とした約65㎡のワンルームマンションにした。線路と国道に挟まれた立地であることから、窓は二重サッシに変えて遮音性を高め、壁には木質繊維断熱材を入れた。


 目玉はもちろん、各室に設置したサウナだ。ヒノキの無垢材でつくった空間に、フィンランドのミサ社のサウナヒーターと大人が寝転ぶことができるサイズのベッドがある。「サウナメーカーに工事を依頼すると、数百万円かかるので賃貸では現実的ではありません。しかし、私は工務店業で培ったサウナ室の施工技術を生かして、ヒーターなど材料費の約70万円でできました」(谷口氏)


 23年6月から入居者を募集し、11月に満室に。サウナ付きのため賃料は相場より高く設定し、2階から4階が18万9000円。すると、米軍横須賀基地に所属する単身者が入居した。エレベーターがないため、5階は賃料を13万円とし、日本人家族が入居している。「今後は、自社所有以外の物件でもサウナ付き賃貸住居を施工したいです」と谷口氏は語る。

谷口和泉氏

 

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