割合だけでなく方位も補正に影響
土地の一部に傾斜があり、その部分が利用できないと判断される場合には「がけ地補正率」を適用することができる。がけ地補正は、同じ形で斜面が存在しない土地の評価額から、斜面になっている部分の面積や方位に応じた減額を行う。自然に存在する傾斜だけでなく、宅地分譲などに見られる人工擁壁にも、この補正を適用することができる。
がけ地補正率を適用することができる土地には以下の条件がある。
❶地目が宅地である
❷路線価地域に存在している
❸平坦な部分とがけ地の部分が一つの区画にある
がけ地補正率は、がけ地部分の割合が高いほど評価額の減少幅が大きくなる。これは、がけ地部分は宅地として活用できる部分ではないため、利用価値が低くなると考えるからだ。
また、がけ地の割合だけでなく、がけ地の方位も補正率に影響を及ぼす。通常の不動産価格が日当たりや風通しがいい南東斜面は高く、北西斜面は低い傾向にあるように、がけ地の方位による評価額の減少幅は、斜面の向きが南である場合が最も小さく、東、西、北の順番で大きくなるのだ。
参考例3を見てみよう。路線価図上では、この土地は200㎡の整形地と考えられていた。だが、実際の土地を見ると50㎡分は傾斜地で、活用ができない土地であった。この場合、この傾斜地分の補正をかけて評価を下げることができる。
KEYWORD
地目
不動産登記法で定められている23種類の土地の用途のこと。山林、原野、田、畑、雑種地は宅地に変更して住宅の建築が可能。
(2024年2月号掲載)