建物の建築に制限があるため評価が下がる
高圧線の下に位置している土地を「高圧線下地」と呼ぶ。電磁波によって健康被害があるのではないかと疑念を持たれることや、景観上の観点から、一般的に高圧線のある土地は価格が安い。
では、土地評価としてどう考えられるかというと、高圧線下地としての減額が適用される。高圧線下地では、安全の確保のため、建物の高さなどが加えられる。そのため、土地利用に制限が生じるという点で、相続税における土地評価でも減価が行われる。
使用電圧にもよるが、送電線から一定の距離(離隔距離)以内に建物を建てることはできない。家屋の構造や用途等に制限を受ける場合は30%、家屋の建築がまったくできない場合は50%といった具合に、その土地に適用される借地権割合と比較し、いずれか高い方の割合を、その土地の相続税評価額から控除することができる。
高圧線下地では、電力会社と土地の所有者が送電線架設保持に関する「線下補償契約」を結ぶ。このときに、送電線にかかる土地部分を分筆し、そこに「地役権」を設定する場合と、契約のみ取り交わす場合がある。地役権の登記がされていれば、土地の登記情報を確認すればいいのだが、線下補償契約のみで地役権の登記がされていない場合、現地調査に行かなければ減額要素に気が付きにくいので注意が必要だ。
なお、この減額は高圧線により「建物建築に制限が生じる」点を考慮して定められている。そのため、建物の建築を前提としない農地や山林といった土地については適用することができない。
KEYWORD
地役権
自己の土地の便益のために他人の土地を利用する権利。便益を供する側の土地を承役地と呼ぶ。
(2024年2月号掲載)
アクセスランキング
- 【特集】人気設備から読み解く 2025年のトレンド
- 12月5日6日に賃貸住宅フェアin大阪を開催
- Regeneration ~建物再生物語~:既存不適格建築物を店舗併用住宅に再生
- 【特集】非住宅ではじめる 遊休地活用ビジネス第六弾:①
- Regeneration ~建物再生物語~:築古アパートをシェアハウスに改修
- 【特集】持ち味発揮 共用部を変えた家主の工夫①:エントランス
- 【特集】押さえておきたい不動産の共有リスクと解消法①
- Regeneration ~建物再生物語~:アトリエ付き住宅へリノベして受賞
- 【特集】古くなったら避けられない 大規模修繕の基礎知識①
- 【特集】24年のカギを握る入居者を引き付ける設備9選
- Regeneration~建物再生物語~:魚屋を複合施設へリノベ
- 【特集】基本を知れば怖くない 税務調査への 対応策:①税務調査概要編
- 【特集】時代に乗り遅れるな今こそ省エネ化①:省エネ賃貸住宅の夜明け
- 【特集】不動産購入で伝来の土地を守る
- 地名・土地の名前の由来 その隠された意味とは?
- 地主・土地持ちはずるいvs大変?地主になるにはどうやってなる?
- 武家屋敷(大名屋敷・江戸屋敷)の特徴とは? 跡地に建つ有名施設
- 大家さんとは? 不動産の大家さんになるには