家賃債務保証ビジネス大解剖

契約書への保証上限明記義務化民法改正で利用率高まる可能性

 新規契約に占める家賃債務保証会社の利用が8割を超えているともいわれる中、家主にとっても重要な存在になってきている。だが、家賃債務保証の仕組みについて知っている家主は多くない。民法改正により、家賃債務保証会社の重要度が増す一方で、家主からトラブルを訴える声も聞こえてくる。今回は家賃債務保証ビジネスについて解説する。

契約書への保証上限明記義務化民法改正で利用率高まる可能性

 4月に改正された民法では、個人が保証人となる場合の極度額の設定が必須になった。この改正は賃貸借契約の保証人の場合にも適用され、極度額を明記していないものは無効となった。

 (公財)日本賃貸住宅管理協会(以下、日管協:東京都千代田区)が2018年6月に発表した『民間賃貸住宅の管理状況に関する調査』によると、家賃債務保証会社の利用率は74・5%だった。

 民法改正により、家賃債務保証会社の利用率が今後さらに伸びる可能性がある。家賃の未払いや原状回復費用など最悪の事態を考慮した極度額を提示すれば、「払える額ではない」と保証人契約を拒否される可能性もある。そうなった場合に役立つのが家賃債務保証契約だ。

 一般的に家賃債務保証会社を決める際の窓口は管理会社や仲介会社となっているため、家主が選ぶことは難しい。だが、もしコロナ禍で家賃債務保証会社が倒産してしまった場合、家主に全く影響がないとは言い切れない。

家賃債務保証ビジネスとはどういったものなのか、家主は改めて知っておく必要がある。

賃貸借契約時に同時に契約

基本的に家主の負担とコストはゼロ

 家賃債務保証とは、保証会社が入居者の連帯保証人に近い役割を果たすビジネスだ。入居者が家賃を滞納した際に、保証会社が滞納した家賃分を代わりに立て替えて支払う。

 家賃を立て替えた保証会社は、債権を回収するため、家主に代わり入居者へ滞納分の家賃を請求する。家賃債務保証契約は、入居者と仲介会社が賃貸借契約を行う際に同時に行われる。

 一般的に、管理委託している物件の場合は管理会社が保証契約の窓口となり、家主が自主管理している物件の場合は仲介会社が窓口となる。書類に不備があるなどの問題がなければ、審査にかかる期間は通常1〜2日だ。

 無事に契約が成立すると、入居者は保証会社に保証料を支払う。保証料のボリュームゾーンは月額家賃の30~50%。契約時に保証料を支払った後は、1年ごとの更新となり入居者が保証会社に1万円を支払うという契約内容が多い。固定の金額を最初に支払った後、家賃の1〜5%を毎月支払うという場合もある。

 保証料の支払い方法は賃貸借契約時に決定する。一括払い方式と、入居期間中に毎月一定額を支払う方式があり、保証会社や商品によって異なる。入居者が保証料や支払い方法を選ぶというよりも、代理店となっている不動産会社がどんな商品を選んで提案しているかで決まる。

 家主にとっては入居者を獲得しやすいサービスだが、契約時から退去まで、家主側に手間やコストが発生するということは基本的にはない。

 一方、入居者は保証人がいなくても賃貸借契約が可能になるが、保証会社を利用することでコストが多くかかってしまうというデメリットがある。それにもかかわらず、利用者が年々増えている理由は何なのか。

 日管協の内部組織として発足した日管協総合研究所の鈴木一男主任相談員は「近年、家族関係の希薄化や高齢化により、連帯保証人を頼みたくない、頼める人がいないという人が増えている」と話す。事実、同協会が10年に調査した家賃債務保証の利用率は39%だった。

 冒頭で説明した通り18年時点で74・5%ということは、8年で35%以上伸びているということになる。誰かに保証人を頼むより、「初期費用が多くかかっても家賃債務保証会社を利用したい」と考えている入居者が多いと考えてもいいだろう。

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