賃貸オーナー向け月刊情報誌

家主版 転ばぬ先の保険の知識

第1回 「保険」の基本的仕組みを知ろう①

公的な保険制度 (健康保険、社会保険、労働保険、 雇用保険、 労災保険など) を除く生命保険、 損害保険、 少額短期保険は、 いずれも民間保険会社を主体として運営されています。

暮らしを守るために任意に利用できる制度であることは、誰もが知るところでしょう。

ところがそもそも保険はどのように成り立っているのかなど、事業として保険を利用している家主でさえ、明確に説明できる人は多くはありません。

この今まで何となくしか知らなかった「保険」の本当の姿を、賃貸経営を営む家主の目線・立場で詳しく解説していくのがこの連載の目的です。保険をより理解し、無駄なく上手に賃貸経営に活用するためのノウハウを学ぶ一助となれば幸いです。

「保険会社」 と 「保険契約者」 の互いの義務により成り立つ

保険という制度を確立させるためには、その制度を取りまとめる「保険者」と、補償を受けられる権利を有する大多数の「保険契約者」の存在が必要です。この両者の間で締結される「保険契約」によってそれぞれの立場における権利・義務・責任が明確に定められています。

「保険者」は損害を被った被災者に保険金を支払う義務を負い、「保険契約者」は保険料(掛け金)を納める義務を負います。保険者として保険事業を営む者を「保険会社」といい、日本では保険業法によりその資格が規定されています。

この保険業法では「支払保険金の総額と保険料(掛け金)の総額はおおむね等しくなければならない」と定められていますので、支払う保険金の総額に制度運営上必要とされる経費や利益を上乗せした金額を、全ての保険契約者がリスクの大きさや範囲に応じて案分して負担していることになります。

これを 「収支相等の原則」 といい、 どちらかが多くても少なくても保険料の追徴または返還などによって原則調整しなければなりません。大型台風や巨大地震が発生した後に火災保険料や地震保険料が値上げになるのはこのためです。

昨今の自然災害の頻発は、この収支相等の原則を脅かすものとなりつつありますが、保険会社はこのような事態でも支払保険金が不足しないように、一定の予備的資金の貯蓄の義務を負っています。

これを「危険準備金」※といい、前述の収支相等が保てなくなったときに取り崩して保険金支払いの原資に充てるため、たとえ保険会社が赤字決算であっても支払保険金は確保されているのです。

※これ以外にも、リスクの分散を図るため他の保険会社に責任の一部または全部を転嫁する「再保険」も行われています。

保険の豆知識

保険とは『相互扶助』の理念の下に、1人ではとても負えないような大きな物的リスク(自然災害や盗賊による強奪など)を、その他大多数の人々が少しずつお金を出し合って相互に負担し合うという仕組みとして誕生しました。

その歴史は古く、初めて考案されたのは紀元前。主に貿易や海上運送の場を中心に発展していきました。つまり保険の発祥は貿易保険、海上保険などの損害保険であり、その後火災保険、利益保険、賠償責任保険などに派生して現在に至ります。

 

解説  保険ヴィレッジ代表取締役 斎藤慎治氏

1965年7月16日生まれ。東京都北区出身。大家さん専門保険コーディネーター。家主。93年3月、大手損害保険会社を退社後、保険代理店を創業。2001年8月、保険ヴィレッジ設立、代表取締役に就任。10年、「大家さん専門保険コーディネーター」としてのコンサルティング事業を本格的に開始。

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