2020年12月15日、ついにサブリース会社にメスが入った。「サブリース業者とオーナーとの間の賃貸借契約の適正化に関する措置」(以下、サブリース法)が施行されたのだ。相次ぐ家主とサブリース会社とのトラブルを防止する目的で作られた法律だが、一体どのような内容で、どういったトラブルを回避できるのだろうか。法施行による影響を紹介する。
トラブルを未然に防ぐために 一足早く施行となる規制法
サブリース法は、20年6月に国会で法案が成立した、国土交通省が定める「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」の中の一つだ。
同法律は、 「賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設」と「サブリース業者とオーナーとの間の賃貸借契約の適正化に関する措置」で構成されており、後者が通称「サブリース法」と呼ばれる。
賃貸住宅管理業に係る登録制度は21年6月に施行されるが、サブリースのトラブルを未然に防ぐことはそれよりも急務なため、サブリース法は20年12月に施行。サブリース業者と勧誘者に対し規制がかかることとなった。
なお、管理戸数200戸以上から登録可能となる制度と混同してしまいがちだが、サブリース法では対象物件を登録業者が借り上げているかどうかは関係なく、サブリース物件であれば規制対象となる。
サブリース法に違反した場合、罰則として最大50万円以下の罰金や6カ月以下の懲役となる。行政処分に関しては、サブリース業者や勧誘者は指示処分の他、業務停止命令や勧誘停止命令となる可能性がある。
入居者にも通報呼びかけ国が協力を仰ぐ
国土交通省と消費者庁は、サブリース法の施行に併せ、入居者からも違法行為と思われるサブリース会社の通報ができるよう注意喚起を行っている。入居者へ確認を促しているのは、以下の3つ。
① 契約しているのはサブリース物件であるかどうか
② 賃貸借契約書に、貸主が家主に変わった場合に退去する必要がなく、住み続けることができるという記載があるかどうか
③ サブリース会社から、維持保全の内容や連絡先の通知を受けているかどうか
これらの注意喚起は、家主とサブリース会社の賃貸借契約終了により不利益を被る可能性があるために行っている。例えばサブリース会社に家賃を支払った直後にサブリース会社が倒産した場合だ。家主は入居者に対し直接家賃を請求することが可能になる。だが、入居者がすでに支払った家賃を家主に対し二重に支払う必要はないことを伝えている。
ただし、入居者が前払いの形で家賃を支払っている場合は、家主にも二重に支払わなくてはならなくなる。入居者はいつの家賃をいつ支払っているのか、家主側でも把握しておいた方がいいだろう。