横山顕吾オーナー(広島市)
1970年岡山市生まれ。筑波大学体育専門学群卒業後、建物管理会社に就職。2008年から一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)広島支部長を務め、12年に投資用分譲マンション2戸を取得。17年に区分マンション所有に特化した専業家主へ転身。マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、賃貸経営アドバイザー、防火管理者、損害保険募集人資格などを持つ。趣味はリフォーム、ラグビー観戦。
第31 話 売主、施工業者、管理会社の関係性を分析する
新築マンションを買おうとする場合、売主から購入します。売主のことをデベロッパーといいます。
デベロッパーは、マンションを売るために土地を購入し、その土地の上にマンションを建築します。マンションを建築する業者を施工業者といいます。デベロッパーが施工業者を決めて発注します。
施工業者のことをゼネコンといいます。デベロッパーがマンション購入者に鍵を引き渡した後は、管理会社がマンションを管理します。したがって、新築マンションの管理会社はデベロッパーが決めます。
このように、マンション販売の主導権はデベロッパーにあります。デベロッパーが、設計者やゼネコン、管理会社などすべての取引業者を決めるのです。決め方は入札などで行われます。そのため、デベロッパーは同じでもゼネコンは異なることが多いです。
一方、管理会社については、大手のデベロッパーは自社系列の管理会社がある場合が多いです。この場合、入札などは行われません。
デベロッパー系列の管理会社のことを「デべ系管理会社」といいます。デベロッパーと関係性がない管理会社は「独立系管理会社」といって区別します。
管理会社を持たないデベロッパーがマンション建築を行う場合は、管理会社も入札などで決めることになります。
その場合デベ系管理会社の場合は管理費が高めに、独立系の管理会社の場合は管理費が低めになる傾向があります。
新築マンションを購入する場合は、デベロッパー、ゼネコン、管理会社が存続しています。しかし、中古マンションを購入する場合、この3社のうちどこかが倒産していることも少なくないです。
そういったことからデベロッパー、ゼネコンが存続しているかを調べることが重要です。( 管理会社は現に業務受託しているので、存続していないことはありません)倒産している業者だから、建物の質が低いということではありませんが、倒産した時期が、建築完了時に近い場合は要注意です。
なぜなら、倒産するのは資金繰りに窮しているということです。資金繰りに窮している場合、現場の職人までお金が回っていない可能性があります。職人にお金が回っていないため、工事が雑になる可能性が高くなることが多いからです。
ゼネコンは、東証1部上場企業も多いので、倒産している可能性は低いのですが、一定の割合で倒産しています。一方、デベロッパーは財閥系や電鉄系を除くと実はほとんどが倒産しています。
土地を購入して、マンションを建築する際にゼネコンに建築費を払い、マンション購入者から入金があるのは、鍵を引き渡したときです。土地代や建物代、従業員への給与、広告代など多額の支払いをし続け、入金があるまでは数年を要するからです。
一つのマンションプロジェクトの失敗が社運を左右することになるのです。以上より、マンションを買うときに、デベロッパー・ゼネコン・管理会社の関係について調べることは重要です。