特許技術で給水管を修復・再生赤さびを黒さびに変換する特許技術を使用
給排水工事・メンテナンス事業を行う都市拡業(横浜市)は、1989年から水の改質に関わるサービスを提供している。その一つである「酸化被膜工法」は、給水管を交換することなく、劣化した配管を復元するサービスだ。人工の鉱物結晶を高温でセラミック状に焼結した装置「ザ・バイオウォーター」で、給水管を流れる水の性質を改善する。
給水管の劣化の原因となる赤さびは、鉄が急速に酸化することで起きる。ザ・バイオウォータを給水管に直結させることで、山の鉱物結晶の働きを人工的に再現し、赤さびの代わりに黒さびの形成を促す。この黒さびが赤さびでえぐられた配管を埋めることで、配管の肉厚が元に戻る仕組みだ。
酸化被膜工法は、使用する人工鉱物結晶の再現性が担保されており、黒さび形成のプロセスが明確で効果を測定できる点から、工業技術として確立している。実際に、日本をはじめ、アメリカ、EU(欧州連合)、シンガポール、マレーシアの5地域で特許を取得している。
マンションや工場、病院、オフィスビルなどで約3000件の導入実績がある。酸化被膜工法を施した最も古い物件では、施工後約30年近くたつが、クレームにつながったことはない。
「新宿三井ビルディング」におけるフィールドテストでは、導入から10カ月でテストピース(試験片)の地金表面がすべて黒さびで覆われ、赤さびによる腐食劣化から保護されていることが確認できている。
費用は、50世帯規模のマンションと仮定した場合、300万~ 500万円前後で、工期は半日から1日程度となる。配管交換の約16分の1、赤さびを研磨しコーティングを施す「ライニング工法」と比べても約5分の1に費用が抑えられる。一度導入すれば、基本的にメンテナンスも不要で、建物の寿命まで使用することが可能だ。
メンテナンス費を抑える装置をパイプに設置賃貸オーナー向け月額サービスを提供
給水管の維持管理サービスを行う日本システム企画(東京都渋谷区)は、設置することで給水管の劣化を大幅に遅らせる装置「NMR(エヌエムアール)パイプテクター」を取り扱っている。これまで分譲マンションを中心に一括の料金で提供していたが、新たに7月から家主向けのプランを設けた。
NMRパイプテクターは、給水管を腐敗させる原因の赤さびを黒さびに変化させるという特許取得済みの商品で、導入実績は4200棟以上に及ぶ。実例として、2019年、北海道で築43年が経過した地上10階建ての商業施設に設置。
第三者機関である一般財団法人材料科学技術振興財団(東京都世田谷区)による設置後の水質調査を行った。その結果、設置前の黒さび量は2・0%だったが、設置10カ月後は48・2%まで増加したことが報告された。
通常、給水管として使われるライニング鋼管のメンテナンスは20年ごとに必要だといわれている。配管更新は費用が高額となるのに対し、NMRパイプテクターは配管更新費用を4分の1~8分の1に削減できるうえ、メンテナンスもほぼ必要なくなるという。
家主向けに提供するのは、初期費用を抑えた月額プランだ。初期費用はマンション規模により66万~ 154万円。装置本体代、水質検査費用、点検費用を含む給水管維持管理費は、1戸あたり月々1200円。20戸の場合、初期費用66万円と月々2万6400円となる。
NMRパイプテクターの導入は家主にとって修繕費用を削減できることだけではなく、設置後すぐ入居者に「水がおいしい」と感じさせる可能性があることも挙げられる。
「導入後から10年以上たつが水道水を使用したごはんや焼酎の水割りは今も変わらずおいしい」と話すのは、北海道に住むマンションオーナーの原田さん(84・仮名)だ。ある懇親会の参加者の勧めでNMRパイプテクターを自宅マンションに導入。水の味が変わり、うれしく感じたので、今も友人に良さを伝えているという。