「サラリーマン大家」始め方の本を紹介

賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」を2003年に創刊してから約20年。

「家主と地主」編集長である永井ゆかりが2020年3月に出版した「サラリーマン家主」入門をご紹介します。

  • 「サラリーマン家主」入門の本を出版した理由
  • なぜ今大家業が注目されるのか?
  • サラリーマン大家になるにあたり落とし穴にハマらないために気を付けて欲しいこと

などを取材しました。サラリーマン大家になりたい方

「サラリーマン家主入門」著者紹介

インタビュアー:
家主と地主編集部
インタビューイー:
「サラリーマン家主入門」著者、「家主と地主」編集長 永井ゆかり

ーーー雑誌「家主と地主」の編集に携わってどのくらいになりますか?

 著者永井ゆかり:「家主と地主」には、2003年の創刊から携わっているので20年近くになります。

 

ーーー「サラリーマン家主入門」を出版しようと思った理由を教えて下さい。

 著者永井ゆかり:2018年ころ、かぼちゃの馬車というシェアハウスへの投資が社会問題になりました。投資した人たちは、不動産投資をすれば家賃収入を楽に得られると安易に考え、あまり知識も持たずに買ってしまったのです。しかし大家業というのは事業であり、簡単にお金が入ることなんてないんだということを伝えたいと考えました。

また、若い世代ほど年金がもらえなくなるかもしれないと感じている中で、今後不動産で資産運用をしようと考える人たちが増えていくと予想しています。

不動産投資をする前に正しい知識を身につけて欲しいと思いました。

以前は社会が成長していったので、サラリーマンの仕事と、もらえる年金と退職金があれば老後に対する不安はあまりありませんでした。

しかし現在ではサラリーマンにも以下のような問題があるでしょう。

  1. 老後の長期化による老後2000万円問題
  2. 退職金の減少
  3. 終身雇用の崩壊

①老後2000万円問題:2019年に話題になった老後2000万円問題。2018年の平均寿命は、男性81.25歳、女性87.32歳でしたが、2065年には男性は84.95歳、女性91.35歳になるとされています。(内閣府が公開した平成30年版 高齢者白書による)人生100年時代が訪れ、より多くのお金が必要になりました。

老後の年金が仮に月5万円不足すると考えると、30年間で1,800万円(5万円×12か月×30年間)で約2,000万円近く年金以外の蓄えや収入が必要になるとの計算になります。

②退職金の減少も目立ちます。2017年、大学・大学院卒の退職金の平均額は1997万円でした。その額は10年前と比べて494万円、20年前と比べると1,206万円も減っているのです。

③2019年5月日本のトップであるトヨタ自動車の豊田社長が「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と発言しました。

 

ーーーサラリーマンの終身雇用が日本にかなり浸透している中、トップの企業が終身雇用を揺るがす発言をするのは大きな影響を与えましたよね。その後トヨタでは、成果報酬をより拡大しています。終身雇用の見直しは、政治家なども含めて以前より語られることが多くなったように感じます。

大家業のメリット

ーーーサラリーマン以外にも、お金を稼ぐ方法はいくつかあると思います。例えば、定年退職後も少しアルバイトをするのが一般的な方法だと思います。また、自分でビジネスを興してフリーで働いたり、ネットを使って稼いだりすることも可能になってきました。その中で、大家業が他のビジネスと比較してどのようなメリットがあるのか教えて下さい。

 著者永井ゆかり:大家業には他のビジネスと比べて以下のメリットがあると思います。

  • 管理部分をすべてアウトソーシングできるので本業と両立しやすい
  • サラリーマンは融資を金融機関から受けやすい
  • 不動産は資産なので売却でき換金できる

大家業は管理部分をすべてアウトソーシングできるので本業であるサラリーマンの仕事と両立しやすいのが一番の魅力だと思います。

トラブル対応や清掃などの管理面は管理会社がやってくれるので、賃貸経営をしながらも、サラリーマンのようないわゆる「時間に縛られる仕事」をすることができます。また、高齢になってあまり自分が動けなくなっても家賃収入を得ることができます。

一度満室になってしまえば日常業務はほとんどありません。例えば海外旅行に一カ月程度行っても支障がない状況になります。日本と海外を行き来して、必要な時だけ関わるような経営スタイルも確立可能です。

また、安定した収入を保証されている会社員は金融機関からの融資を受けやすいのもメリットの一つ。自分の預貯金を手元に残しておきつつ、借り入れで物件を購入する手法も取れるでしょう。

さらに、不動産は資産なので売却して換金できるという点もあります。

大家業が将来有望ビジネスと考える理由

ーーー大家業というと、地主が税金対策としてアパートを建てるといった、昔ながらのビジネスというイメージがあります。なぜ今大家業が将来有望ビジネスなのでしょうか?

 著者永井ゆかり:将来の大家業を取り巻く環境は当然変化していくでしょう。現時点では以下のような状況にあると考えられます。

  • 総世帯数は減るが単身世帯は増加する(死別、離婚、独身など)
  • 在留外国人が増加する
  • 空き家が増加する

人口減だと住居が減り大家業は厳しくなるイメージがありますが、単身者は増加します。死別により単身になったので持ち家を手放して賃貸に移ったり、離婚で独身になり賃貸に住んだり、独身者の増加で親と同居していたが一人では家を維持できないので手放して賃貸に移るなどが考えられるからです。

また外国人の増加による賃貸需要が見込まれます。

こういった事情から空き家が増加していくため、安く購入しリフォームすることも可能です。しかしリフォーム代が掛かり過ぎる場合もあるので目利きが必要になります。

サラリーマンが大家業を始めたのはいつ頃からなのか?

ーーー地主でない人が大家業を始めるケースというのはいつごろから始まったのですか?最近増えているのでしょうか?

 著者永井ゆかり:一棟アパートやマンション(ワンルーム投資ではない)の大家業が一般的になったのは2003年くらいからです。きっかけは、1997年に出版された金持ち父さん・貧乏父さん(ロバートキヨサキ著)がベストセラーになったことでした。借金をして不動産を購入しレバレッジを効かせて稼げると知ったサラリーマンが不動産投資を始めたのです。

ワンルーム投資というのは昭和50年代からありました。株価が上がっていたので買って売って売却益を得るキャピタルゲインで稼ぐ投資方法でした。

大家業を始めるに当たって

ーーー初心者は、銀行から多額のお金を融資してもらい大家業をすることが怖いと感じると思うのですか?

 著者永井ゆかり:やはり最初の物件は区分所有マンションなどを現金で購入することがおすすめです。入居者募集や、不動産会社との関係、入退去の対応などの一連を学ぶことができるからです。

 

ーーー老後の資金が不安な方は、正社員サラリーマンなどの案定職を持たないケースが多いと思います。例えば、早期リストラに遭ったり、転職による減給。そもそも就職できずにフリーランス、あるいは借金がある、派遣などの非正規社員など。そのような方にも大家業は有効なのでしょうか? 

 著者永井ゆかり:非雇用形態の方もコツコツ貯金を貯めているお金から大家業を始めることもできます。郊外の一件家の空き家なら、300~400万で買える物件はあります。今まで貯めた現金で空き家を購入し、投資をして、家賃収入を得ることはできます。現金を持てるかどうかが大切です。

 

ーーー大家業を始めるに当たり一番伝えたいことは何ですか?

 著者永井ゆかり:自分がやろうとしていることを「不動産投資」という言葉で捉えるとトラブルが多いです。そこで不動産投資ではなく大家業というビジネスであるということをお伝えしたいと思いました。

ネットで不動産というキーワードで検索すると、不動産会社や、不動産会社のセミナーなどが引っ掛かります。不動産会社は不動産を購入してもらうためにセミナーを主催しているので、耳触りの良い話ばかりする傾向にあります。

まずは正しい知識を身に付けて情報を集めてから始めるので良いです。急いで始めたりすぐに収益を出そうとして始めようとすると、仮に失敗した場合、取り返すのが大変だったり取り返しがつかなくなることがあるからです。

正しい知識を得てコツコツ堅実に吟味しながら不動産を買って運営している人が、適正な利益を得られていると思います。

 

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