不動産でがっちり節税

賃貸経営で節税するには、「納める税金を少なくできないか」が節税への第一歩。不動産で節税するには以下4点を意識することがポイントです。

  • 経費を正しく計上すること
  • 法人化でさらに節税
  • 節税に役立つ制度
  • 控除を活用して所得を下げる

「家主と地主編集部」が不動産でがっちり節税するための4つポイントを解説します。

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経費を正しく計上する

原状回復や設備修理などを元の状態に戻すための修繕費

賃貸経営においては、以下の費用を経費として計上できます。

  • 税金の支払いや借入金の返済の金利
  • 減価償却
  • 所有物件の現状回復やリフォームにかかる費用

改修工事に掛かる支出は、「修繕費」と「資本的支出」に分けられ、部屋や建物を元の状態に戻すための工事の場合、修繕費として経費に計上できます。

つまり、退去のたびに行う原状回復工事や設備が壊れた際の修理などは、金額にかかわらず修繕費として計上可能です。

支出額が1戸当たり20万円未満の場合も、修繕費として計上が可能です。20万を超えた場合であっても、3年以内の周期で修理や改良などが必要になるケースでは、 修繕費に分類することができます。

一方、部屋や建物をグレードアップする工事をした場合は、資本的支出に分類されます。原状回復工事と合わせて設備代・その工事代は資本的支出になります。この場合は経費として計上することはできません。

資本的支出は原価償却費として計上

原価償却とは、建物や設備など固定資産の使用可能期限に応じてかかった費用を1年ごとに分割し少しずつ償却して費用計上する手続きのこと。

固定資産は年数とともに価値が減少するので、その減少した分を減却した分を償却するという考えです。

なお、土地は経年によって価値が減少するとみなされないので、取得費用を減価償却することはできません。

土地付きで不動産を取得した場合、土地取得にかかる部分は減価償却することはできないということになります。

前述した資本的支出は、資産価値の増加を目的とした出費。そのため、建物や設備については減価償却を通じて経費とすることが可能です。

青色申告していれば30万円未満まで計上

30万未満まで計上

青色申告している場合、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価格の損金参入の特例」を活用することができます。

同特例は、資本的支出に該当する支出だとしても、①青色申告者であること、②30万未満の支出ならば経費として一括計上することができる制度です。

所得の多寡に応じて、1年ごとに償却していくのか、それとも1年の経費として計上するのか、 どちらが節税につながるのかを計算しましょう。

節税を意識するならば、年間でどれぐらいの利益が発生し、 いくら経費化すれば最も効率がいいのか、家主自身が把握する必要があります。

青色申告とは

確定申告には以下2つの種類があります。

  • 白色申告
  • 青色申告

白色申告と青色申告の大きな違いは特別控除の有無です。青色申告にのみ特別控除があり、その金額は青色申告の場合は10万円(ただし事業的規模とみなされた場合は55万円、さらにe-Taxによる電子申請や会計ソフトを使用した電子帳簿で仕訳帳および総勘定帳を保存している場合は65万円)となります。

家族従業員がいる場合は、青色事業専従者給与が可能で、家族に給与を支払うことができ経費に計上できます。しかし、専従者の給与が130万円を超えた場合は国民健康保険の加入が必要になります。

法人家主ができる法人税の下げ方

法人で物件を経営している家主と、個人事業主の家主では活用できる扶養控除などの所得控除が異なります。個人事業主より法人の方が経費として計上出来る事柄が増えます。以下、具体的に見ていきましょう。

通信費

スマートフォンなどの通信費。個人事業主の場合、通信費を経費として計上しても全額認められるケースはまれ。しかし法人の場合は業務としてスマホを使用し、全額経費として計上することも認められやすいです。

出張費規定を作る

企業の社員の場合、出張として仕事を目的に遠方に行くことがあるが、社員は交通費や宿泊費など払った分を経費として会社に申請する。さらに会社によっては出張中の食費や通信費のために日当を支給することもあります。

会社は出張にかかった支出をを経費として計上できます。

賃貸経営をするための法人であっても、当然その規定を作ることが可能です。

出張旅規定を作ることで、例えば遠方にある不動産の内見や様子見などに行ったときの、支出や手当を経費として計上できるのです。

役員報酬を上げる

役員報酬の金額を上げることも節税につながります。家主に家族がいる場合、家族が法人の取締役になることで、家族にも役員報酬を渡すことが可能です。

家賃収入を法人や家族に分配することができる方法ですが、役員報酬の金額を上げすぎると、 家主自身や家族の所得が上がってしまうため注意は必要です。

車を購入する

購入する車を社用とするのも有効です。車は給湯器などの設備同様に固定資産となり、原価償却費を計上できます。

法人名義の車になるため、原価償却費のほか、自動車税など車にかかる税金やガソリン費、メンテナンス費も経費にすることが可能。

しかし、プライベートで利用する場合も想定されます。月々に車のレンタル代金として家主個人から法人に入金し、そのことを帳簿に残しておくと安心です。

また、乗用車は事業用の社用車として認められやすいがスポーツカーは事業用として認められないケースもある、売却時の金額を考慮すると高級車を選ぶメリットも大きいといった細かいテクニックもあります。この辺りは税理士に相談するといいでしょう。

厚生年金、健康保険に加入

会社の設立時、勤め先の社会保険に加入していることから、あえて自身の役員報酬や給与を設定せず、厚生年金と社会健康保険に加入しなかった家主もいると思います。

その場合は、役員報酬や給与の金額を上げるのと合わせて厚生年金や健康保険に加入する方法もあります。

厚生年金の支払いは、半分を個人の給与から天引きし、残り半分を法人が負担する形となっており、法人が負担する分は経費にすることができます。健康保険料も同様です。

直接の節税効果は薄いものの、支払額が多くなれば個人が加入する国民年金よりも手厚い保障を受けやすくなります。

家族が法人に入った場合は、家族も加入することで節税しつつ手厚い社会保障を受けられるようにしましょう。

自宅を社宅にする

家主が自宅を別のオーナーから借りている場合、法人名義で借りる方法もあります。社宅の家賃の一部は法人の経費にすることが可能だからです。

借りている部屋のオーナーや管理会社に連絡して契約者名を法人に変更して、家賃の入金元を法人にすることなどで社宅にできます。

節税に役立つ制度

経営セーフティ共済

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先企業が倒産した際、会社が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。無担保、無保証人で掛け金の最高10倍、上限8,000万円までの借り入れが可能。掛け金は、損金または事業所得の必要経費に算入できます。

メリットは以下の3つです。

  • 掛け金を全額経費として算入できる点:毎月20万円、年間240万円を掛け金にすることが可能
  • 40カ月以上納めると解約時に掛け金の金額が戻る点:20万円を40カ月かけた場合、800万円を経費として計上しつつ、タイミングを見計らって解約し手元に戻すことが可能
  • 月額の掛け金を5,000円~20万までの範囲内で自由に選択できる点:掛け金の増減も手続きを踏めば可能なため利益の多い年は多めに支払い、利益が少なくなりそうな年は少額の払い込みと変えることができる

事業所得以外の収入の場合は掛け金を必要経費として計上することができないので、不動産所得しかない個人事業主の家主は賃貸経営に組み込むことができません。

生命保険

民間の保険会社が提供する生命保険も節税に役立ちます。

法人も、受取人を法人にした生命保険(法人保険)を利用することができるのです。保険料を全額損金にすることは難しいですが、解約時の最高編戻し率が50%未満の保険商品の場合は全額を法人の経費にすることができます。

個人の生命保険は控除の上限が定められていますが法人は経費として計上するため上限はありません。そのため、家主が死亡すると会社の後継者が多くの保険金を手にすることが可能になり、相続人の経済的な負担を減らすのに役立てられます。

小規模企業共済

小規模企業共済とは、小規模企業の経営者や役員、個人事業主のための退職金制度です。最大のメリットは掛け金が全額課税対象の所得から控除できることです。

月々の掛け金は1,000~7万円までの間で500円単位で自由に設定できます。掛け金は加入後に増額・減額することができます。

利益の多い年は多めに支払い利益が少なくなりそうな年は少額の払い込みに変えることが可能です。

小規模企業共済は退職金として受け取る方法と相続時に相続人が受け取る方法があります。相続時に受け取る場合、相続税の非課税枠は民間の生命保険金の非課税枠とは別枠となるので、小規模企業共済と生命保険両方に加入することで相続税対策に役立てることができます。

注意点として、サラリーマン家主は加入できないことが挙げられます。

また、民間の生命保険と違い、受け取り人を指定できないこともデメリットでしょう。受給権の順位は配偶者が1位であり、次に子供が受け取れる。相続税対策として役立てる場合、家族に伝えておかなければなりません。

なお、経営セーフティー共済と同様に、小規模企業共済を解約して大規模修繕時の費用に充てることもできます。ただし、納付月が 240か月未満の場合、返戻金が掛け金の合計を下回るため、戻ってくるお金が目減りしてしまいます。

地目変更

アパートとアパート駐車場が隣接しているにも関わらずに、別々に固定資産税を納めていることもあります。そのような場合は駐車場の固定資産税を下げることができるかもしれません。

駐車場は雑種地に分類され固定資産税が高額になりがち。一方アパートの地目は宅地で雑誌地と比較して固定資産税が低くなります。駐車場を住戸の敷地と一体化する、「住宅用地の特例の適用」を受けることができれば税金を軽減できます。

消費税の還付

オーナーが課税事業者(消費税を納める義務を負う事業者のこと)でありテナント物件を購入する場合、消費税還付を受けられる可能性があります。

消費税は課税事業者が取引時に消費者から預かり、その後税務署へ納付します。課税事業者は消費者から預かった消費税のうち、自分が仕入れ先に支払った消費税を差し引いて税務署に収めることができるのです。

そのためテナントオーナーは消費者から預かった消費税よりも、自分が物件購入により販売先に支払った消費税の方が高額となった場合、差額分を還付を受けることができます。

控除を活用して所得を下げる

ふるさと納税

ふるさと納税は、自分が応援したい自治体に自前に寄付することで、寄付した分の所得税・住民税を控除することができる制度です。

さらに、寄付した自治体から返礼品がもらえるのもメリット。本来は納付する予定だった税金の一部を別の自治体に寄付するため、納める税金の合計金額自体は低くなりません。税金が減るわけではないですが、本来は得られない返礼品をもらえることからお得な制度だと言えるでしょう。

ふるさと納税は、所得に応じて寄付金の上限があるため注意が必要です。ふるさと納税を扱うインターネットサイトの中には、上限金をシミュレーションすることができるサイトがあるので、上限金を自身で確認してみましょう。

医療費控除

医療費控除は、その年にかかった病院代や薬代の合計金額が10万円を超えた場合にその超えた部分が控除になる制度です。

家族分も含めて合算でき、上限金額は200万円。

なお、セルフメディケーション税制が17年にスタートしました。対象医薬品を1万2000円超購入した場合に利用可能です。セルフメディケーション税制と医療費控除は、どちらかから選択して利用することができます。

セルフメディケーション税制の対象となる医薬品には、薬局で購入した風邪薬や湿布薬、大人用紙おむつなどの介護用品が含まれています。

日常生活の中でドラッグストア等で対象の医薬品を購入することがあるかもしれません。

セルフメディケーション税制の対象は、確定申告を行う人で健康のために健康診断や予防接種など取り組んでいる人。上限金額は8万8000円です。レシートに星印が入っているものが対象商品となります。

iDeCo

iDeCoは、個人が任意に加入できる私的年金制度です。用意された金融商品の中から自分で選択して掛け金を運用する仕組みです。60歳以降に年金かまたは一時金として受け取れます。メリットは以下の通りです。

  • 掛け金を全額所得控除にできる:最低月々5,000円から捻出でき、掛け金の額の変更は1年に1回。捻出金額の上限額は被保険者種別や企業年金の加入状況によって変わる。
  • 運用益が課税対象とならない:金融商品を運用して得られた利息や分配金、売却益などの利益は非課税となります。通常の株式投資では利益が出た場合に約20%課税されるのとは対照的です。
  • 60歳になり運用益を受け取るときに各種所得控除がある点

まとめ

不動産で節税する以下の方法について解説しました。

  • 経費を正しく計上すること
  • 法人化でさらに節税する
  • 節税に役立つ制度
  • 控除を活用して所得を下げる

家主が知っておきたい経費と賃貸経営に生かせる制度について解説しました。節税によってお得に賃貸経営を行いましょう。

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